原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)の不当な対応事例

原発賠償問題に関しては,迅速に解決することを目的に,2011年9月に原子力紛争解決センター(俗に「原発ADR」)が設置されたことはご存じかと思います。
しかし,設置当初から,裁定機能がないことや時効中断効がないことが問題点であることが指摘されました。このことについては,後日述べたいと思います。
また,迅速な解決を標榜していましたが,審理期間がかかっていることが指摘されています。

実際に,当弁護団において,昨年3月に紛争解決センターに申し立てた事例がありますが,その対応が極めて問題なので紹介します。
今回3月11日に提訴した原告の方のケースです。

[経過]
●2012年 3月27日 原子力損害賠償紛争解決センター申立
●2012年 4月27日 仲介委員,担当調査官が決まったとの通知
●その後,補充書面の提出と領収書などの提出し,東電からも書面が出ました。
●2012年10月頃   担当調査官の交代
●2012年10月24日 調査官から電話で連絡
その際のやりとりは,
 調査官「口頭審理は不要と考えている。文書で仲介案を出す。」
 弁護団「慰謝料その他争いがあるので、是非、本人から直接話を聞いてほしい。再考して欲しい。」
 調査官「仲介委員に伝えて検討する。」
(しばらくして電話かかってくる)
 調査官「やはり、口頭審理は不要と判断した。慰謝料が中間指針追補を超えると主張するのであれば書面で提出すること。」
 弁護団「納得できない。再考の余地はないのか?」
 調査官「決定事項である。」

●その後,補充書面提出を提出しました。

●2013年1月31日 電話連絡
・来月(明日)から担当調査官が交代する。
・ただ、新たな調査官の名前は知らない
・事件が多く、仲介案提示の処理が追いつかないので、もう少し待って欲しい。
・ただ、いつ提示できるかは明言できない。
というものでした。
●本日現在,未だに仲介案は出ていない。

つまり,1年以上の間,調査官が交代して3人目となり,期日も開こうとせず,判断すら出そうとしないというものです。一体,何のために作られたのかと憤りを感じます。

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