月別アーカイブ: 2014年3月

原発賠償についての説明会(3月15日17時~)を開催します

  • 3月15日に東京の四ッ谷で裁判に関しての説明会を開きます。
    当弁護団は,「福島原発被害東京訴訟」の3次提訴を3月10日に行いましたが,引き続き4次提訴を行う方針です。そこで,これから裁判に参加したい,参加を検討している原発事故被害者(避難者)向けに説明会を行います。
  • [日時] 3月15日17時から
    [場所] スター会議室四谷  東京都新宿区四谷1-8-6 ホリナカビル3階
    地図は,こちらから
    (交通)JR中央線・総武線四ツ谷駅四谷口徒歩2分,東京メトロ丸ノ内線・南北線四ツ谷駅徒歩2分
  • 当日は,原発賠償の現状と当弁護団の考え,裁判の現状と見通し,当弁護団の依頼方法などについて説明します。
    「何で裁判なの?」「裁判ってどんなことをやるの?」「どれだけ時間とお金がかかるの?」「どうしたら裁判に参加できるの?」などなど,数々の疑問をお持ちの方も,そうでない方も,にお答えします。
  • 避難区域の内外を問わず,すべての原発事故被害者への完全な賠償と,事故前の当たり前の暮らしを取り返すこと,この実現のためには,1人でも多くの原発事故被害者が声を上げることが重要です。
  • 説明会には,事前の申込等は不要です。ご家族でのお越しも歓迎します。
    説明会や弁護団に関する問い合わせは,当弁護団(オアシス法律事務所 03-5363-0138)までお願いします。

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第3次提訴のご報告(73世帯234名)

今日,73世帯234名が,国,東京電力を被告として,東京地裁に訴訟を提起しました。
裁判所への入廷,記者会見には,原告となった各地域の方が多く駆けつけてくれました。
今回の提訴は,以下に述べるとおり,都内等に避難している人に加えて,福島県内で生活をしている人,福島県田村市常葉町早稲川地区の約2/3に及ぶ世帯,栃木県県北地域の住民など多岐にわたっています。原告の中には,東電の現役社員もいます。
今年の2~3月にかけて,当弁護団の担当する原告も含め15裁判所(16弁護団)1784名の原発事故被害者が提訴をしており,既に提訴している原告もあわせると17裁判所(18弁護団)6675名にもなります。

[原告の概要]

  • 都内等への避難者           19世帯    42名
  • 福島県田村市常葉町早稲川地区の住民  42世帯   152名
    [福島第1原発から30キロと数十メートルの地域。早稲川地区の世帯数は,約65世帯のうち,約3分の2の世帯に及びます。]
  • 福島県の他の地域(福島市,郡山市など)の住民 5世帯  20名
  • 栃木県の県北地域の住民      7世帯  20名[栃木県の県北地域は,福島県内よりも線量が高い地域もあるにもかかわらず,賠償問題では完全な「蚊帳の外」に置かれていました。この地域住民の集団提訴は,初めてです。]

[東電社員の提訴について~集団訴訟で初めて~]

  •  今回の提訴原告の中には,東電の現役社員も含まれています。 20代男性で,大熊町に在住,福島第一原発で勤務していました。これまで原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)に申立を行ない,2回は一部賠償を受けましたが,3回目は東電が支払を拒否しました。

[本日の提訴の意義~線引き,切り捨ては許さない~]

  •  事故後3年経とうとしていますが,東電,国の誠意ある対応は見られません。原発ADRも,被害救済においては,限界があります。生活再建のためには,司法の場で加害責任を明らかにし,生活再建のための賠償,その他恒久対策(住宅,健康管理,就労,教育,差別防止など)を実現させていく必要があります。
  •  今回の提訴原告は,区域外避難者・滞在者,その問題が典型的に表れる早稲川地区,「自主的避難等対象区域」にもなっていない栃木県県北地域,切り捨てが行われる東電社員,いずれにも共通するのは,「線引き」による被害者の分断,被害の切り捨てです。
  •  私たちは,こうした「線引き」が無意味なものであることを明らかにし,全ての原発事故被害者がもとのくらしを取り戻すことが出来るよう,全力で取り組んでいく決意です。

[提訴後の記者会見]

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200数十名の追加提訴を行ないます(3/10)!

第1 はじめに

  • 当弁護団では,3月10日に国,東京電力を被告として,福島原発事故の避難者,滞在者200名以上による損害賠償請求訴訟を提起します。
  • 特に,今回は,都内等に避難している住民だけでなく,福島県田村市の早稲川地区(避難区域に隣接した地域住民)の集団提訴,栃木県の県北地域の住民の集団提訴も予定しています。

第2 原告予定者の概要(原告数は,早稲川地区以外は確定していません。)

  • 都内への避難者                    10~15世帯 40~50名
  • 福島県田村市常葉町早稲川地区の住民        42世帯    152名
    [福島第1原発から30キロと数十メートルの地域です。隣接地域は,区域内(旧緊急時避難準備区域)ですが,この地域は,区域外です。早稲川地区の世帯数は,約65世帯ですので,同地区の約3分の2の世帯が提訴に踏み切ることとなります。]
  • 福島県の他の地域(福島市,郡山市など)の住民 5~10世帯  10~20名
  • 栃木県の県北地域の住民                10世帯前後  20~30名
    [栃木県の県北地域は,福島県内よりも線量が高い地域もあるにもかかわず,賠償問題では完全な「蚊帳の外」に置かれていました。この地域住民の集団提訴は,初めてです。]

第3 提訴日(3/10)の予定

  • 午後 提訴
  • 15時30分 記者会見(司法記者クラブ)
    当日は,原告も会見等に出席の予定です。

第4 提訴の特徴・意義

  • 原発事故から3年が経過しようとしています。しかし,賠償問題は,遅々として進まず,特に,区域外については,ほとんど放置されたままとなっていると言って過言ではありません。当弁護団は,区域内外,避難者・滞在者を問わず,生活再建に適った完全賠償をスローガンに都内や神奈川県の弁護士などで構成されています。昨年3月11日,国と東京電力を被告とする集団訴訟を東京地方裁判所に提起しました(現在の原告数は17世帯40名)。こうした動きは,少しずつですが広がりを見せています。
  • そして,今回,都内への避難者だけでなく,福島県田村市の早稲川地区の住民や栃木県県北地域の住民が立ち上がりました。
  • 福島県田村市の早稲川地区は,福島第1原発から僅か30キロと数十メートルの地域です。隣接した地域は,区域内(旧緊急時避難準備区域)となっていますが,早稲川地区は,区域外とされてしまいました。この違いにより,賠償問題だけでなく,税金や医療費,義援金等についても,全く別の扱いになっています。当たり前ですが,僅か道路一本で放射線量は変わりません。このことは,地域住民の分断をも生じさせています。
  • 栃木県県北地域(那須塩原市など)は,福島県に隣接していることに加えて,原発事故後の風向き等の影響から,大量の放射性物質による汚染が広がりました。現在でも測定をすると福島県内より線量がかなり高い地域が見られます。しかし,賠償問題に関しては,東電の「自主的避難等対象地域」からも外れており,(事業者への風評被害等への賠償を除けば)地域住民に対する賠償は行われていません。
  • 私たちは,原発事故により,多くの人たちが現在でも,日々放射能汚染・低線量被ばくに晒され,収束しない原発事故の不安に脅えて,これまで当然に享受していた自然など生活環境を奪われてしまっている現状を明らかにするとともに,一方的な「線引き」,それによる被害の切り捨てを許さず,全ての被害者が生活再建に適った賠償を求めていくべく,今回の訴訟を提起することになりました。

福島原発被害東京訴訟・第4回期日報告

続いて第4回期日の報告をします。

 2014年1月30日午前11時から東京地裁103号法廷で,第4回口頭弁論期日が開かれました。
 まず,弁護団が提出していた準備書面(8)と(9)を陳述しました。
 準備書面(8)は,東電の故意・過失を裁判の中で審理する必要があることを主張しています。東電が,原子力損害賠償法を理由に,故意・過失の審理は必要ないと主張していたことに対する反論に当たります。
 準備書面(9)は,東電と国が負っている注意義務の内容,そして,東電と国がその注意義務に違反したことを,具体的な事実を挙げて,主張しています。
 さらに,東電に対し,福島原発に関連する既往津波および想定津波等について記載された文書等を裁判所を通じて提出するよう,求めました(文書送付嘱託手続)。 

 そして,2次提訴原告13-1番と弁護団鹿島裕輔弁護士による意見陳述が行われました。
 裁判所は,2次提訴原告のうち,訴訟救助決定に対して国が抗告を申し立てたために分離されていた原告についても,再度,他の原告と併合しました。これは,昨年12月,国の抗告が却下されたことによるものです。国に対しては,不当な即時抗告で原告の裁判を受ける権利を妨害することはすべきでないと思います。

 さらに,今回の口頭弁論期日で,1次提訴原告の裁判に2次提訴原告の裁判を併合することが決まりました。今後,1次提訴も2次提訴も同じ事件として,裁判所で審理されます。

 次回期日は,3月26日午前10時から東京地方裁判所103号法廷です。

福島原発被害東京訴訟・第3回期日報告

久々の投稿です(ブログの更新ができず,申し訳ありませんでした。)。

 2013年11月27日午後1時10分から東京地裁103号法廷で,第3回口頭弁論期日が開かれました。
 当日は,2次提訴原告1-1番さんと吉田悌一郎弁護団事務局長の意見陳述が行われました。
 意見陳述に先立って,弁護団が提出していた準備書面(4)から(7)を陳述しました。
 準備書面(5)は,2011年3月11日午後2時46分の地震発生から福島原発の各原子炉がたどった経過を詳しく述べ,放射性物質の漏出に至った原因が全電源喪失にあることを明らかにしたものです。
 これが,今後,東電の過失を問うていく基礎となります。
 そして,準備書面(7)は,区域外であっても避難することに相当性,合理性があることを示す事実として,いまなお,福島第一原発の各原子炉からは放射性物質の漏出が続いていること,廃炉に向けた過程でも放射性物質が大量に漏出する可能性があること,事故以降,福島県内各地相当の放射線量が計測されていること,露地物の野菜や果実,魚などの食品から暫定基準値を超える放射性物質が検出される例が続いていること,などをまとめたものです。
 今回は,準備書面(7)の裏付けとなる資料として,2011年3月から2013年9月までの福島民報の縮刷版から記事を抜粋して1000枚近くもの書証として提出しました。

 今回1次提訴原告の第3回口頭弁論とあわせて,2次提訴原告の第1回口頭弁論が開かれました。2次提訴原告のうち,訴訟救助(経済的理由による裁判所への手数料等のの猶予措置)決定に対して国が即時抗告(不服申立)をした原告については,国との関係で手続を分離して行われました(即時抗告審の判断後に併合されます。)。
 東電は,答弁書において,1次提訴分ではしていなかった「原賠法は民法の特別法であるから,損害賠償請求について民法の適用はない」との主張を展開しはじめています。
 この点については次回以降,弁護団から反論の書面を提出することになります。