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福島原発被害東京訴訟・第2回期日報告

9月11日10時から,福島原発被害東京訴訟(1次訴訟)の第2回期日が開かれました。
[なお,7月26日提訴の2次訴訟については第1回期日はまだですが,1次訴訟と併合するように求めています。]
法廷にも,報告集会にも沢山の方々にお越し頂きました。原告団・弁護団共々御礼を申し上げます。

[第2回期日]
法廷では,原告から準備書面(1)~(3)の陳述,証拠の提出をしました。
準備書面(1)は,国の求釈明への回答
準備書面(2)は,原子力の基本的理解及び原発の危険性
準備書面(3)は,「国策民営」の原子力政策
という内容になっています。

準備書面(2),原子力の基本的な仕組みや原発の危険性について主張した書面です。
まず,原子力発電というものはいかなる仕組みで運転されているものであるのか,原子の仕組みや核分裂反応のメカニズムについて詳細に説明しました。また,本件事故で大気中に放出された放射性物質にはヨウ素,セシウム,ストロンチウム,プルトニウムなどがあり,それらの物質がいずれも非常に危険な物質であることを明らかにしました。そして,原子力発電所がどのような設備を有しているのか,すなわち,原子炉の構造や事故発生時の対策に「止める」「冷やす」「閉じ込める」作業が大切であるにもかかわらず,福島第一原発は,いずれもそれらの対策が不十分であったこと,原子力発電所がいかに不安定で危険な施設であるかを明らかにしました。

準備書面(3)は,「国策民営」の原子力政策について主張した書面です。
日本の原子力政策は,1950年代に入ってから,「国策民営」といわれるように政官財の強固な連携によって推し進められてきたこと,国や電力会社が一体となって強固な「原子力ムラ」を形成し,多額の広告や宣伝を行い,挙句の果てには,教育の現場にまで介入して,「安全神話」を国民に植え付けてきたなかで,批判に耳を傾けないまま原子力政策が進められてきたこと,その結果,原発の危険性,安全対策,過酷事故のリスクなどについて,軽視したなかで,原発事故が引き起こされたことを明らかにしました。

これらは,今後,国や東電の責任論や被害・損害論を議論していく上の前提事実として裁判所に押さえて欲しいものとして,主張したものです。

続いて,原告本人と原告代理人の深井弁護士が意見陳述を行いました。

原告さんの意見陳述は,別の記事でご紹介します。

法廷が終了してからは,進行協議[今後の進行についての話し合い]と参加者向けの説明会に分かれました。

[進行協議]
進行協議では,当方から,今後の主張・立証方針等について協議がなされました。

東電の代理人は,相変わらず,原賠法があるのだから,責任論については議論が必要ないという姿勢でした。これは,原賠審の「中間指針」に基づいて支払うというものです。しかし,このブログで何度も指摘していますが,「中間指針」は法律でもありませんし,その水準としても被害者の生活再建に資する内容ではありません。特に,区域外避難者にとっては,雀の涙程度の賠償しか応じないということなのです。到底許されるものではありません。

国は,逆に責任論について,争う姿勢を示していますが,訴状に対する具体的な認否・反論については,先延ばしにしようとする姿勢を示しています。挙げ句の果てには,原告の責任論の主張がすべて終わってからまとめて反論したいなどと言いだしました。

しかし,訴状で責任論は明確になっていますし,さらに,国の求釈明にも回答しているのですから,本来,認否・反論するのが筋ですし,争点の明確化,充実した審理につながります。
裁判所も,認否・反論できるところは反論するように,国に指示をしました。当然の指示です。

[説明会]
説明会には,会場があふれるほどの方々が参加しました。
当日の法廷で何が行われたのか,どういう主張をしているのか,今後の予定の説明をし,また,原告や参加者の感想が話されました。また,各地の弁護団の方からも激励の挨拶を頂きました。
そして,時効問題の署名への協力要請や福島原発東京訴訟サポーターズへの参加呼びかけなどが行われました。サポーターズでは,東京だけでなく,各地の裁判などの情報もお知らせをして,近くに住んでいる方などへの傍聴の呼びかけなどを行っていくそうです。

今後の日程は,次のとおりです。

11/27 13:10~
1/30  10:00~
3/26  10:00~
いずれも東京地裁103号法廷

今後もご支援のほど宜しくお願いします。

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