福島原発被害東京訴訟・第6回期日の報告

5月28日に福島原発被害東京訴訟の第6回期日が行われました。

法廷では,当方から,
準備書面(13)貞観津波についての知見の蓄積と進展
準備書面(14)シビアアクシデント対策の必要性と被告国による対策の先送り
準備書面(15)被告国の規制権限の不行使の違法に関する原告らの主張の整理と被告らの過失(予見可能性の対象及び程度)について
準備書面(16)低線量被曝と避難の合理性について(その2)
準備書面(17)本件事故による放射能汚染の概況-その1
と関係証拠を提出しました。

また,期日間で東電と電事連に対する文書送付嘱託が採用となりましたが,いずれも嘱託に応じられないとの回答でした。理由は,従来の主張の繰り返しで,全く理由になっていないものでした。
そのため法廷では,当方(主に当職)から強く抗議をしました。今後,強制力のある文書提出命令を申し立てることを検討しています。この問題については,別途,ブログ記事を書きます。

その後,原告(原告番号10-1さん)の意見陳述と弁護団の平松真二郎弁護士の意見陳述が行われました。

原告の意見陳述では,
「・・・夫に会えるのは,1か月に2度ほどです。夫は,仕事が終わると,高速道路に乗って,東京に着くのはいつも深夜です。そして,翌々日の午前中には,いわきに帰って夜勤をしなければなりません。
ふだん夫のいない生活が続き,4歳になった娘は「パパは?」と私に聞いてきます。「お仕事なんだよ。」と答えますが,「なんで?」と納得しないことも多くなりました。
私は,いつも,こう娘に言い聞かせます。「みんなで楽しく住んでいた福島で、とても大きな事故があったの。その事故で,とっても怖いものがいっぱいあったから,あなたを守るためにパパとママは離れて暮らしてるんだよ。パパもママもあなたが大事だからね。」。そう言うと,娘は「パパがお仕事行って寂しいけど,頑張るね! だって,パパ,頑張ってるんだもん。」と言います。
でも,東京に来た夫が福島に帰るとき,何回かに一度は,娘が「パパと離れたくない…。パパと一緒がいい。パパとママとずーっと一緒にいたい。だって大好きなんだもん。」と泣いて,夫にすがります。私は,夫から娘を引き離して,夫をいわきに戻します。ですが,幸せな時間を過ごした後,かわいい娘と引き裂かれる夫の気持ちを思うと,いつも涙が出てきます。
夫は,「初めての子どもなのに,なぜ成長していく様子をすぐそばで見られないんだ。おれは『おかえり!』って,家で迎えて欲しかった。どんなに仕事で疲れても,家族が一緒にいれば休まるのに…。」と言います。・・・」
とこれまでの普通の生活を奪われた悲しみ,避難を決意するに際しての家族の苦悩,見えない将来への不安,国・東電に対する怒りなど,心からの訴えでした。意見陳述が終わると傍聴席から自然に拍手が起きました。

その後,別室で進行協議が行われ,次回までに国の認否,反論が出ることとなりました。また,東電については,最初,責任論に関しては,関係ないと言って消極的でしたが,裁判所からも促されて,基本的な事実関係の主張及び過失についての認否・反論をすることになりました。

今後の予定は,
2014年 8月28日  10時
2014年10月29日  10時
2015年 1月28日  13時10分
2015年 3月25日  10時
で,いずれも東京地方裁判所103号法廷です。

<期日後の報告集会>

第6回期日後報告集会(20140528)

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