福島原発被害東京訴訟・第22回期日のご報告

去る3月1日午前10時から、東京地方裁判所103号法廷にて、福島原発被害東京訴訟第22回期日が開かれました。

この日は、前々回期日(2016年11月9日の第20回期日)及び前回期日(2017年1月11日の第21回期日)に引き続き、第3回目の原告本人尋問が行われました。

この日は合計5名の原告の方(原告番号2-1、16-1、3、8、15-1番の原告)が法廷に立ち、それぞれの被害を訴えました。

この日に法廷に立った原告の方は、ほとんどが原発事故の避難指示区域外からの避難者(いわゆる「自主的避難者」)です。避難者の方々は、放射線被ばくから逃れるために、東京都内に避難している方々です。東京電力からの賠償もほとんど受けられていない中、皆さんは長引く避難生活の中で、それぞれ大変なご苦労をされています。

原告番号2-1の方は、子どもが避難先の公立小学校で、同級生から「放射能バンバンバン」などとからかわれたことがきっかけで一時不登校になり、小学校の転校を余儀なくされたという被害を訴えました。
原告番号16-1の方は、妊娠中に本件原発事故に遭い、福島市から東京に避難しました。放射線被ばくによる健康影響への不安などを訴えました。
原告番号3の方は、故郷の福島が大好きでしたが、原発事故や放射能の恐怖から避難せざるを得なくなり、充実していた福島での生活や人間関係を犠牲にせざるを得なかった被害を訴えました。
原告番号8の方は、もともと自然豊かな福島で暮らしたいとの思いから福島に移住し、有機農法で野菜などを育てながらの悠々自適な暮らしをしていましたが、原発事故によって避難を余儀なくされ、そうした充実した自然とともにある暮らしが奪われた被害を訴えました。
原告番号15-1の方は、避難先の東京で、実際には東電からほとんど賠償を受けていないにもかかわらず、周囲の人たちから「お金をいっぱいもらえていいね。」などと言われ、福島県からの避難者であることに対する世間の偏見にさらされている辛さなどの被害を訴えました。

これらの原告らの切実な被害の訴えに対して、今回も被告東電や被告国からの反対尋問は、相変わらず原告の方々の揚げ足取りのような質問や、趣旨の不明な稚拙な質問が多く、不当なものでした。しかし、それにもかかわらず、今回の5名の原告の方々も、みな堂々と発言され、すばらしい尋問でした。

さらに、法廷の終了後は、隣の弁護士会館にて報告集会も行われました。

次回期日は5月17日(水)午前10時からで、場所は同じく東京地裁1階103号法廷にて行われます。次回は2人にの専門家証人の尋問(主尋問)が行われる予定です。
まず1人目は、被告東京電力や被告国の原発事故に対する法的責任を明らかにするため(責任論)の専門家で、株式会社日本機能安全の取締役で失敗学会の理事の吉岡律夫さんです。吉岡さんは、過去に東芝の原子力事業部で原子炉の設計や安全解析等に従事していた経験があります。吉岡さんからは、本件原発事故が発生する前に、全電源喪失に対する対策をきちんととっていれば、原発事故を防ぐことができたこと(結果回避可能性)などについて証言していただく予定です。
もう1人は、本件原発事故によって原告らが被った損害(損害論)を明らかにするための専門家で、早稲田大学人間科学学術院教授で医師の辻内琢也さんです。辻内さんは、本件原発事故による避難者等を対象とした大規模なアンケート調査を行い、避難者、とくに区域外避難者が被っている多大な精神的苦痛について分析・研究されています。辻内さんからは、本件原発事故による避難生活によって原告らが被っている様々な精神的苦痛について証言していただく予定です。

裁判はいよいよ正念場を迎えています。是非次回以降も法廷の傍聴をよろしくお願いします!

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