このたび全国各地の原発賠償問題でADRや訴訟を行っている弁護団の有志で原発賠償における消滅時効問題について署名を始めることにしました。
原発事故による被害は,現在も被害が継続しています。ところが,東京電力は,勝手に自分たちで時効の起算点等を設定しています(参考:東京電力「原子力損害賠償債権の消滅時効に関する弊社の考え方について」2013年2月4日)。
私たちとしては,現在も被害が進行している以上,「損害を知った」とは言えず,来年以降に消滅時効を迎えるという解釈は誤りであると考えます。しかし,現状として,原発事故被害者の間では時効に対する不安が広がっていますし,訴訟等で時効問題を争点とすること自体が,被害救済を遅延させることになりかねません。また,弁護団に依頼していない多くの原発事故被害者にとっては,尚更であり,本来受けるべき救済を諦めさせられかねない懸念があります。
そこで,以下の内容の署名を行うこととしました。是非,一人でも多くの方に署名にご協力頂ければ幸いです。
署名は,次のファイルを活用下さい。→[署名のファイル PDF ]
署名は,添付の署名にも送付先として記されている当弁護団の事務局(〒160-0022 東京都新宿区新宿1-11-12 岩下ビル4階 オアシス法律事務所)にお送り下さい。また,この署名活動を行う地元弁護団のあるところは,そちらに送付して頂いても構いません。
宜しくお願いします。
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原発損害賠償請求の消滅時効に関する抜本的な立法措置を求める!
衆参両院議長 殿
<要 請 趣 旨>
2011(平成23)年3月11日に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の放射性物質放出事故(以下「本件原発事故」という。)から,既に約2年5か月が経過している。本件原発事故被害者の東京電力および国に対する損害賠償請求権は,法律上、事故からわずか3年間で消滅時効により失われる可能性がある(民法724条前段)。また,民法には,10年の消滅時効,20年の除斥期間という規定も存在する。
しかし,本件原発事故の影響で,福島県からだけでも15万人以上の方が,現在も避難を余儀なくされている(本年6月13日現在福島県調べ)など,その被害は極めて深刻かつ広汎にわたり,放射性物質の影響は予測が困難で,被害者のほとんどは,自己の損害を的確に把握することすらできず,自ら権利保全の措置を講ずる精神的余裕もない。
このような現状において,被害者に権利消滅の不安を抱かせ,あるいは本年5月に成立した特例法が消滅時効中断の要件とするように、被害者に対し、短期間のうちに権利保全の措置をとることを要求することは,著しく正義に反する。
よって,政府及び国会は,「東日本大震災に係る原子力損害賠償紛争についての原子力損害賠償紛争審査会による和解仲介手続の利用に係る時効の中断の特例に関する法律」の附帯決議に基づき,早急に,福島第一原発事故に係る損害賠償請求権が失われないよう立法措置を講じるべきであるため,以下の事項を強く要請する。
<要 請 事 項>
福島第一原発事故による損害賠償請求権については,3年もしくは10年の消滅時効,及び20年の除斥期間が適用されないとする立法措置を講じること。