第3回 裁判を知る勉強会のご案内

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第3回裁判を知る勉強会(福島原発被害東京訴訟サポーターズ)
日時:11月24日(火)午後6時30分(2時間程度)
「津波の責任論-予見可能性と結果回避可能性をめぐって-」
講師:平松真二郎 弁護士 (福島原発被害首都圏弁護団)
場所:四ツ谷・聖イグナチオ教会信徒会館 アルペホール
<JR四ツ谷駅麹町口、地下鉄四ツ谷駅からすぐ>
(東京都千代田区 麹町6丁目5−1)
※ 裁判のサポーターズ向けの勉強会ですが、サポーターズ未登録の方も当日登録すれば参加できます。
※ 裁判に興味のある避難者の方も参加歓迎です。
参加無料・予約不要

「福島原発事故のため、首都圏に避難している皆さん等が、国と東京電力を相手に、東京で裁判を闘っています。裁判のサポーターズ(一般会員は会費無料)になって、この裁判が問うていることを学び、裁判の原告の皆さんを支援しませんか?」

主催:福島原発被害東京訴訟サポーターズ
福島原発被害東京訴訟原告団
福島原発被害首都圏弁護団

問い合わせ先:サポーターズ事務局(オアシス法律事務所 03-5363-0138)

福島原発被害東京訴訟・第14回期日のご報告

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11月11日午前10時から東京地裁103号法廷で、福島原発被害東京訴訟・第14回期日が行われました。

今回は原告側から、損害論に関して、いわゆる100ミリシーベルト許容論に対する反論である準備書面(33)、裁判所からの求釈明の回答である準備書面(34)、2008年における津波の知見と被告の責任に関する準備書面(35)及びその関連書証を提出しました。

他方で、被告東電からは、共通準備書面(11)(原告の主張に対する反論)と、被告国からは、責任論に関する第7準備書面が提出されました。

その後、弁護団共同代表である森川清弁護士から意見陳述がなされました。以下でその内容をご紹介します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第1 はじめに

原告らは、低線量被ばくの影響から避難の合理性を主張しています。

しかし、被告東電は、被告東京電力共通準備書面(5)及び同準備書面(7)において、担当大臣が設けた放射線物質汚染対策顧問会議のもとに設置された「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」によって2011年12月22日にとりまとめられた報告書などに基づいて、100mSv以下の低線量被ばくでは他の要因による発がんの影響によって隠れてしまうほど小さいとか、LNTモデルは実証されていないとか主張し、実質的に避難の合理性を争っています。

また、被告国は、本訴訟で低線量被ばくの影響について認否を留保したまま、低線量被ばくについていまだ主張していない状況です。

そこで、被告東電の100mSv以下の低線量被ばくを容認するかのごとき主張について、今回、反論した準備書面を提出しました。

第2 ICRPについて

本書面では、まずICRPについて説明しています。

被告東電は、ICRPが危険率を大きく見積り予防的・実践的な観点からLNTモデルという仮説に立っていると主張しています。そして、ICRPの勧告を引用しながら、あたかも年間100mSv以下の低線量被ばくが許容されるかのごとく主張しています。

しかし、ICRPは、ちがった考え方をもっていると考えられます。被告東電は、ICRPの基本的な考え方について誤解しているか、意図的に曲解しているかのどちらかといわざるを得ません。

ICRP2007年勧告は、1954年の勧告を引用して、ICRPの考え方の出発点は、「すべてのタイプの電離放射線に対する被ばくを可能な限り低いレベルに低減するため、あらゆる努力をすべきである」ことであり、20mSvといった線量拘束値や参考レベルにしておけばいいと述べているのではありません。

文言の変遷はあるにしても、「可能な限り低く」という以上、放射線被ばくはいかに低線量であっても有害であるから低減するためにあらゆる努力をすべきということになります。

大事なのは、ICRPは100mSv以下の低線量被ばくでのリスクの存在自体を認めていること、原発事故によって住民はなんら便益を受けるものではなくリスクを被るのみであってリスクを受ける主体と便益における主体に同一性がないことです。

ICRP1965年勧告は、このことについて、「公衆の構成員は(放射線作業者と異なり)被曝するかしないかに関して選択の自由がなく、かつ、その被曝から直接的利益を何も受けないであろう。」と住民は便益を受けるものではなくリスクを被るのみであることを明らかにしています。また、「どんな被曝でもある程度の危険を伴うことがあるので、委員会は、いかなる不必要な被曝も避けるべきであること」ことも明らかにしています。これらの考え方は、その後の勧告においてさらに線量基準を引き下げたのだから、その後の勧告にも当然の前提として引き継がれているといえます。

第3 いわゆる100mSv容認論について

1 はじめに

被告東電があたかも100mSvまで許容されているかのごとく述べていること、まさに「原発は安全」から「放射能は安全」へというべきものであって福島原発事故が生じて早い時期から登場しており、いろいろと問題点が指摘されています。

2 国連グローバー報告

2012年11月に日本を訪問し、実施した調査に基づく国連グローバー報告は、政府が年間被ばく線量が100mSv未満では癌の過度のリスクはないため、20mSv/年までの地域に住むのは安全であると保証したことを強く批判し、低線量の放射線でも健康に悪影響を与える可能性があるため、被ばく線量が可能な限りに低減されて年間1mSv未満になった場合にのみ、避難者は帰還が推奨されるべきであると、日本政府の対応を問題視しています。

3 原子力村の新たな神話?

京都大学の今中哲二さんは、「100mSv以下心配無用説」に対して、LSSデータがLNTモデルと適合的であること、ムラサキツユクサの照射実験での突然変異、原子力産業労働者データなどをとりあげて批判しています(岩波科学2011年11月号)。

4 LNTモデルに対する誤解

東京工業大学の調麻佐志さんは、「LNTモデルに対する誤解」として、ICRPが単に安全側に立った「慎重に」ではなく、LNTモデルががんリスクについて「科学的に妥当」であるという表現をとっていること、がんリスクは確率の問題を超えて結果が甚大であることを指摘し、低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループの見解について批判しています(岩波科学2012年9月号)。

5 統計的有意差の有無と影響の有無

岡山大学の津田敏秀さんたちは、100mSv以下では放射線の影響によるがんは発生しないかのような雰囲気作りがなされていることを批判しています。

ICRP2007年勧告の放射線に感受性の高いがんも低いがんも含めて、すべてのがんに対する分析結果を中心に論じていることについて、100mSv以下の話も、年齢を放射線感受性の大きい低年齢層に限ったり、がんの種類別に分析をしたりすると、影響の見え方や有意差の有無は異なってくると思われると有意差自体が認められる可能性に言及しています。

そして、放射線に対する感受性が高い低年齢層だけに限っても、統計的な有意差は観察されやすくなり、実際に多くの論文で100mSv以下の被ばくで有意な上昇が観察されていることを指摘しています。

100mSv以下の被ばくに関して日本で出回っている誤解は、ICRP勧告にもその他のどの影響評価にも反するものであり、基本的な誤解から生じていると結論づけています(岩波科学2013年7月号)。

そして、津田敏秀さんたちは、2015年10月、国際環境疫学会が発行する医学雑誌に、「2011年から2014年の間に福島県の18歳以下の県民から超音波エコーにより検出された甲状腺がん」という論文を発表し、日本全国の年間発生率と比較して潜伏期間を4年としたときに福島県中通りの中部で50倍であるなどとして「福島県における小児および青少年においては、甲状腺がんの過剰発生が超音波診断によりすでに検出されている。」と結論づけています。

第4 おわりに

よって、いわゆる100mSv許容論こそなんら科学的根拠のないものであって、避難の合理性、必要性は強く認められるべきものです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

法廷が終了すると、近くの弁護士会館で報告集会が行われ、弁護団から法廷の説明と、参加者からの発言などがありました。

今後の予定は,
2016年 1月20日  10時~ 東京地裁103号法廷
2016年3月16日  10時~ 東京地裁103号法廷

2016年5月18日  10時~ 東京地裁103号法廷

2016年7月20日  10時~ 東京地裁103号法廷

です。傍聴をよろしくお願いします。

<問い合わせ先>
〒160-0022
東京都新宿区新宿1丁目19番7号 新花ビル6階 オアシス法律事務所内
福島原発被害首都圏弁護団
電話:03-5363-0138 FAX:03-5363-0139
メール:shutokenbengodan@gmail.com
ブログ:http://genpatsu-shutoken.com/blog/
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福島原発被害東京訴訟・第14回期日(11月11日)及び報告集会のご案内

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国と東京電力に対し原発事故の責任を問う「福島原発被害東京訴訟」の第14回期日が11月11

日(水)午前10時から、東京地裁103号法廷で開かれます。

皆さま、是非傍聴にお越し下さい!

1人でも多くの方が傍聴することで、原告の皆さんを支えることができます。

そうすることによって、正しい裁判への道が開かれ、これまでの誤った政策も正すことができます。

傍聴券は配布しませんので、だれでも定員まで先着順に入廷できます。

原告を応援するサポーターズも募集しています。

【福島原発被害東京訴訟第14回期日のご案内】

[第14回期日(口頭弁論)]
日時:11月11
日(水) 午前10時~
場所:東京地方裁判所103号法廷
[東京都千代田区霞が関1-1-4]
原告の方と弁護団の意見陳述を予定しています。

[報告会]
同日 期日終了後(10:40ころ~)
場所: 弁護士会館10階 1002号室
当日の裁判の説明,これまでの経過報告とともに,今後の手続の流れや方針などについて,弁護団からご報告します

裁判所の最寄り駅は
東京メトロ丸ノ内線,日比谷線,千代田線「霞ヶ関駅」(東京地裁はA1出口すぐ目の前)
東京メトロ有楽町線「桜田門駅」 (東京地裁は5番出口から徒歩3分)です。

☆当日、9時30分より地裁前でチラシ配布・アピールなどいたします。こちらにもご参加ください。

(その後の期日予定)
1/20(水)10:00、3/16(水)10:00

<問い合わせ先>
〒160-0022
東京都新宿区新宿1丁目19番7号 新花ビル6階 オアシス法律事務所内
福島原発被害首都圏弁護団
電話:03-5363-0138 FAX:03-5363-0139
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福島原発被害東京訴訟・第13回期日(9月18日)及び報告集会のご案内

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国と東京電力に対し原発事故の責任を問う「福島原発被害東京訴訟」の第13回期日が9月18日(金)午前10時から、東京地裁101号法廷で開かれます。

皆さま、是非傍聴にお越し下さい!

1人でも多くの方が傍聴することで、原告の皆さんを支えることができます。

そうすることによって、正しい裁判への道が開かれ、これまでの誤った政策も正すことができます。

傍聴券は配布しませんので、だれでも定員まで先着順に入廷できます。

原告を応援するサポーターズも募集しています。

【福島原発被害東京訴訟第13回期日のご案内】

[第13回期日(口頭弁論)]
日時:9月18日(金) 午前10時~
場所:東京地方裁判所101号法廷
[東京都千代田区霞が関1-1-4]
原告の方と弁護団の意見陳述を予定しています。

[報告会]
同日 期日終了後(10:40ころ~)
場所: 日比谷図書館スタジオプラス4階(小ホール)

[東京都千代田区日比谷公園1番4号]
当日の裁判の説明,これまでの経過報告とともに,今後の手続の流れや方針などについて,弁護団からご報告します

裁判所の最寄り駅は
東京メトロ丸ノ内線,日比谷線,千代田線「霞ヶ関駅」(東京地裁はA1出口すぐ目の前)
東京メトロ有楽町線「桜田門駅」 (東京地裁は5番出口から徒歩3分)です。

☆当日、9時30分より地裁前でチラシ配布・アピールなどいたします。こちらにもご参加ください。

(その後の期日予定)
11/11(水)10:00、1/20(水)10:00、3/16(水)10:00

<問い合わせ先>
〒160-0022
東京都新宿区新宿1丁目19番7号 新花ビル6階 オアシス法律事務所内
福島原発被害首都圏弁護団
電話:03-5363-0138 FAX:03-5363-0139
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サポーターズ勉強会のご案内~ 放射能を帯びた除染後の廃棄物のゆくえ

福島原発被害東京訴訟サポーターズのみなさま

サポーターズの会員を対象とした裁判についての勉強会(第2回)を開催することになりました。
サポーターのみなさま、どうぞご参加ください。チラシ添付します。

【日時】7月28日(火)1830分~20時ごろ
【場所】TKPスター貸会議室四谷第二(東京都新宿区四谷1-8-6ホリナカビル3階)四ツ谷駅徒歩2分
    四ツ谷ですが、イグナチオ教会ではないので、ご注意ください
【講師】弁護団、大崎慎一氏(東京災害支援ネット事務局)

サポーターズ未登録の方も当日登録すれば参加できます。

裁判で主張している問題について、市民の皆さんと考えます。
今回は、「放射能を帯びた除染後の廃棄物のゆくえ」と題して、除染と廃棄物の問題を考えます。
帰還政策のもとでは、線量に注目がいきがちですが、除染の問題については語られることが少ないです。
東京訴訟では、避難の合理性を基礎づけるものとして、除染の不十分さを主張しています。
弁護団の主張をふりかえりつつ、アップ・トゥ・デートな問題については支援団体「とすねっと」からも「援護射撃」を。

会場地図
https://www.google.co.jp/maps/place/1+Chome-8-6+Yotsuya,+Shinjuku-ku,+T%C5%8Dky%C5%8D-to+160-0004/@35.6866251,139.7282389,17z/data=!3m1!4b1!4m2!3m1!1s0x60188c8ba1ed2f0f:0x209211eb3f74d856

【お問い合わせ】ひぐらし法律事務所03-6806-5414(担当弁護士・山川幸生)

福島原発被害東京訴訟・第12回期日のご報告

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7月15日午前10時から、東京地裁101号法廷にて、福島原発被害東京訴訟・第12回期日が行われました。

 

法廷では、当方から、責任論についての国の主張に対する反論を中心とした準備書面(30)と、損害論の総論に関する準備書面(31)(低線量被曝に関するICRPの基準、LNTモデル)及びその関連証拠を提出するとともに、各原告の個別準備書面及び関連証拠を提出しました。

 

一方、被告の東電からは、原告らの内部被ばくの危険性に関する主張に対する反論である共通準備書面(8)、文書送付嘱託に関する準備書面(9)及び関連証拠が提出されました。

 

その後、原告団長である鴨下裕也さんの意見陳述と,弁護団の内田耕司弁護士による意見陳述が行われました。

 

以下で、原告鴨下裕也さんの意見陳述の内容を紹介します。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1 仮設住宅の提供の打ち切りの発表

私は、この訴訟、福島原発被害東京訴訟の原告団長です。今日は原告団長の立場から、私自身を含め、最近の原告たちの苦しい状況について、お話を致します。

最近、私たち避難世帯を更に苦しめる大きな出来事がありました。

先月の15日、福島県が、現在の避難指示区域以外からの避難者について、災害救助法に基づく応急仮設住宅の提供期間を2017年3月までとし、それ以降は延長しないという方針を決めたのです。

私たち1次・2次訴訟の避難者原告は、全員、避難指示区域から避難しています。以前指定されていた緊急時避難準備区域から避難してきた原告もいますが、緊急時避難準備区域は2011年9月に解除されましたので、今は全員が「避難指示区域以外からの避難者」です。

私たち避難者原告が住んでいる場所は都営住宅や公務員宿舎ですが、法律上はプレハブの仮設住宅と同じように扱われる「みなし仮設住宅」です。これらの仮設住宅は、避難者に無償で提供されてきました。

私も、原発事故の後、「避難指示区域以外」である福島県いわき市から首都圏へ避難し、今は、妻と2人の子どもと共に、東京都内にある「みなし仮設住宅」で避難生活を送っています。

訴状にもありますように、避難指示区域以外からの避難者は、行政からの他の支援はほとんど受けておらず、東京電力から任意の支払いを受けた賠償金もごくわずかです。とりわけ、避難元の福島県内に生計維持者などを残して、母親と子どもだけが東京で避難するという、いわゆる「二重生活」を送っている家族は、特に生活費がかさんで苦しい家計になっています。このため、避難指示区域以外からの避難者にとって、仮設住宅は、避難を続けていくための重要な支援になっており、避難生活の命綱のようなものなのです。

しかし、この避難のための住宅から、私たちは、2017年3月で出て行くよう通告されたのです。

 

2 避難者の経済的な困難

この決定を知って、多くの避難者が動揺し、これから家賃を負担しながら避難生活を続けられるのかと不安を口にしています。

現在、私が生活している仮設住宅は、東京都内でも家賃相場が高いと言われている地域にあり、夫婦と子ども2人の4人家族が生活できる賃貸物件では月15万円以上の家賃が必要となります。いわきの自宅のローンを支払いながら、このような高額な家賃を負担できるのか、まったく見通しが立ちません。

避難者の中には、私のように避難により福島での仕事を辞めざるを得なかった人はもちろん、二重生活を送っている家族もあり、仮設住宅の無償提供が打ち切られれば、避難生活を続けることは不可能だという人もいます。これは、経済的に苦しい避難指示区域以外からの避難者に対し、事実上帰還を強制するものというほかありません。

仮に現在の仮設住宅のある地域から引っ越せば、大人は転職を、子どもたちは転校をしなければなりません。避難先でようやく新しい人間関係を築いてきた子どもたちの気持ちを考えると、遠方に引っ越すのも躊躇われます。

私も、受験勉強を頑張って希望する中高一貫校へ入学した子どもや、学校で友だちと楽しい学校生活を送っている小学生の子どものことを考えると、遠方への引越しは避けたいという気持ちが強くあります。

家族で生活する上で必須の住宅を追われるという不安があまりにも大きく、提供が打ち切られた後の生活をどうするかは、正直なところ、うまく考えることができない状況です。

私たち避難者原告は、国も東電も安全だとアピールしてきたはずの原発の事故によって、突然それまで住んでいた福島県を追われ、生活を破壊され、それでも必死に避難生活を送ってきました。しかし、今、行政の判断一つで住宅を追われようとしています。

このように私たち避難者の生活は今でもとても不安定なものなのです。

 

3 帰りたくても帰れない現実

仮設住宅の提供の打ち切りは、福島県への帰還や避難者の「生活再建」を促すためだとされています。また、先日、発表された子ども被災者支援法の基本方針の改訂案では、「空間線量等からは、避難指示区域外の地域から避難する状況にはな」いと明記されているとの報道を目にしました。

しかし、どちらも福島の現状を全くわかっていない考え方だと思います。

例えば、私が住んでいたいわき市は、今でもタケノコ、ゼンマイ、わらびなどの山菜は、出荷が制限されたままです。しかし、最近1年ほどの間、いわきの様子を見ていると、個人的に山菜を収穫し、自宅で食べたり、お裾分けしている人もいるようで、いわきに住む知人からもそのように聞いています。

避難指示区域でないからといって、このような場所に帰れと、まして、幼い子どもたちを連れて帰れと強制される理由はありません。

私たち家族に限らず、避難者原告は、誰も好き好んで避難している訳ではありません。避難指示区域からの避難者も、避難指示区域以外からの避難者も、帰りたくても帰れないのです。

4 おわりに

このような避難者の状況を踏まえて、今年5月には、避難用住宅の長期・無償の提供を求める4万4978筆の署名が国と福島県に提出されました。

この署名は、私たち避難者はもちろん、避難者ではない多くの市民の方々から寄せられたものです。

避難者の置かれた状況を見れば、住宅の無償提供の打ち切りなど、撤回以外にないという思いはありつつも、これだけ多くの声が寄せられたにもかかわらず、提供の打ち切りを決められ、これ以上、何をすればよいのか途方に暮れています。

もし避難を続けることができず、福島県内への帰還を余儀なくされれば、東京には滅多に来ることはできなくなりますから、東京地方裁判所で、原告として、この裁判を続けていくことにもマイナスの影響が生じるのは間違いないと思います。

裁判所におかれましては、避難指示区域以外から避難している人も、今も避難を続けざるを得ない状況に置かれていること、そして、避難により経済的にも精神的にも大きな負担がのしかかっているのだということをご理解いただき、公正な判断をしていただきますようお願いいたします。

以上

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

原告の意見陳述が終わると傍聴席から自然に拍手が起きました。

法廷が終了すると、近くの弁護士会館で報告集会が行われ、弁護団から法廷の説明と、参加者からの発言などがありました。

今後の予定は,
2015年 9月18日  10時~ 東京地裁101号法廷
2015年11月11日  10時~ 東京地裁103号法廷

2016年1月20日  10時~ 東京地裁103号法廷

2016年3月16日  10時~ 東京地裁103号法廷

です。傍聴をよろしくお願いします。

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福島原発被害首都圏弁護団
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福島原発被害東京訴訟・第12回期日(7月15日)及び報告集会のご案内

第12回期日

国と東京電力に対し原発事故の責任を問う「福島原発被害東京訴訟」の第12回期日が7月15日(水)午前10時から、東京地裁101号法廷で開かれます。

先般、現在の避難区域以外の避難者に対する応急仮設住宅の提供打ち切りが発表されました。

原告の皆さんの生活基盤を奪おうとするもので、決して容認できません。

弁護団は、打ち切り撤回を求めるとともに、原告の皆さんとともに不退転の決意で闘いを続けます。

1人でも多くの方が傍聴することで、原告の皆さんを支えることができます。

そうすることによって、正しい裁判への道が開かれ、これまでの誤った政策も正すことができます。

傍聴券は配布しませんので、だれでも定員まで先着順に入廷できます。

原告を応援するサポーターズも募集しています。

【福島原発被害東京訴訟第12回期日のご案内】

[第12回期日(口頭弁論)]
日時:7月15日(水) 午前10時~
場所:東京地方裁判所101号法廷
※法廷の場所が前回と違いますので、ご注意ください。
[東京都千代田区霞が関1-1-4]
原告の方と弁護団の意見陳述を予定しています。

[報告会]
同日 期日終了後(10:40ころ~)
場所:弁護士会館10階1006AB会議室
[東京都千代田区霞が関1-1-3]
当日の裁判の説明,これまでの経過報告とともに,今後の手続の流れや方針などについて,弁護団からご報告します

裁判所の最寄り駅は
東京メトロ丸ノ内線,日比谷線,千代田線「霞ヶ関駅」(東京地裁はA1出口すぐ目の前)
東京メトロ有楽町線「桜田門駅」 (東京地裁は5番出口から徒歩3分)です。

☆当日、9時30分より地裁前でチラシ配布・アピールなどいたします。こちらにもご参加ください。

(その後の期日予定)
9/18(金)10:00、11/11(水)10:00

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